2022/08/08 23:17

大事に育てているハーブが病気になるのは悲しくつらいもの。病気によってはわずか数日で枯死する場合もあるため、気になる症状が現れたら早期対処が肝心です。他の株にうつる危険性があるのも怖いですね。ハーブの病気を症状からチェックできるよう早見表にまとめました。病気の原因と予防対策もぜひ活用ください。


ハーブがかかる病気の早見表<部位と症状からチェック>

症状を見れば、ハーブがかかった病気の種類がわかります。予防対策は順に解説します。病気名がわかったら、該当する項目から対策方法を確認ください。

(症状と可能性がある病気)
白い粉が吹く → うどんこ病
黒い斑点がつく※ → すす病、モザイク病
赤い斑点がつく → べと病
葉に凸凹の赤黒いイボができる → サビ病
灰色のふわふわが付く → 灰色かび病
葉が不自然に縮れる → モザイク病

花・蕾
(症状と可能性がある病気)
カビる、花びらにシミのようなあとができる → 灰色かび病
花びらにモザイク柄が現れる → モザイク病

株全体
(症状と可能性がある病気)
突然枯れる → 立ち枯れ病
株元が腐り、嫌なニオイが出る → 軟腐病
地際に白いカビの糸が現れ、株元が腐っていく → 白絹病

斑点や一部の葉の縮れなどは、水切れや虫害が原因の場合もあります。まずは株に害虫が潜んでいないか、水やりが正しくできているかを確認しましょう。問題がなければ、病気の可能性が高くなります。


ハーブ(植物)の病気は3つの系統がある

植物の病気は大きく3つの系統に分かれ、それぞれ原因や対処法が異なります。そのため、病気がどの系統か分かれば、正しい対処法がとりやすくなります。

かびによる病気
(病名)
・うどんこ病
・すす病
・べと病
・灰色かび病
・さび病
・立ち枯れ病
・白絹病

細菌による病気
(病名)
・軟腐病

ウイルスによる病気
(病名)
・モザイク病

特定のハーブが特定の病気にかかりやすいというのはあまりなく、栽培環境しだいでどんな植物でもこれらの病気になりえます。


かびによる病気

<うどんこ病・すす病・べと病・灰色かび病・さび病・立ち枯れ病・白絹病>の原因と対策

植物がかかるほとんどの病気が、かび(真菌類)によるもの。原因は土中や空気中のかびなので、かびが増えやすい多湿の環境で発生しやすい傾向があります。(ただしうどんこ病は乾燥を好み、白絹病は高温を好みます)。冬以外の季節で発生する可能性があり、もっとも活発な時期は真夏を除いた6月~10月ごろです。具体的な原因は、糸状菌と呼ばれる存在。どこにでもいる当たり前の菌なので、菌自体の根絶はできません。かびを増やさない環境づくりが大切です。

発病前の予防
・枝をすいて株の風通しをよくする
・水やり頻度は適切に保ち、土を常にジメジメした状態にしない
・土壌を酸性に傾けない(適宜、有機石灰などで中和する)
・強く乾燥させすぎない(乾燥する日が続いたら、霧吹きで葉水を与える)
・チッソ肥料を与えすぎない

その他病気が発生しやすい時期には、多くのかびが苦手とするアルカリ性の重曹スプレー(重曹水を希釈したもの)を散布するのも効果的です。毎年被害を繰り返す場合は、病気ごとの有効薬剤を定期散布しましょう。

発病後の対策
軽度の場合:病変部分を切り取って処分する
重度の場合:株を抜いて処分する(病気によって枯死している場合も同じ)

同時に病気の株周辺に落ちている枯れた葉や根、花がらも取り除いて処分します。周囲に転移がないかも確認しておきましょう。なお「白絹病」への感染が確認された場合は、株周辺の表土もまるごと処分します。白絹病は土の中で越冬するため、寒い時期に表土を天地返しするのも効果的です。


細菌による病気

<軟腐病>の原因と対策

軟腐病を引き起こす細菌は、餌となる植物の中でしか生存できません。そのため枯れた葉や病気になった雑草、土中に枯れた植物の根をそのままにすることで細菌が増殖。害虫がかじったあとから細菌が入り込むことで被害を増やしていきます。病原細菌は植物の柔らかい傷口から入り込むため、柔らかい植物が被害を受けやすい傾向にあります。害虫が増え、湿気が多くなる梅雨~秋にかけて被害が多くなります。

発病前の予防
・枝をすいて株の風通しをよくする
・ヨトウムシ(青虫類)やハムシなど、葉をかじる害虫はすぐに駆除する
・泥跳ねから感染することがあるため、特に下葉は優先的に剪定する
・水やり頻度は適切に保ち、土を常にジメジメした状態にしない
・連作を避ける
・枯れ葉や雑草はこまめに処理する

以前軟腐病にかかったことがある場合は、予防薬剤を散布すると安心です。

発病後の対策
・株を抜いて処分する
・病気の株周辺に落ちている、枯れた葉や根、花がらを取り除いて処分する
・土壌の水はけが悪いときは、土壌改善を行う

軟腐病が発生すると、基本的には株の処分が必要になります。予防の徹底を心がけましょう。


ウイルスによる病気

<モザイク病>の原因と対策

モザイク病は、かびや細菌よりもさらに小さな「ウイルス」によって発生する病気です。媒介するのは、害虫であるアブラムシやアザミウマ、コナジラミなど。これらの害虫がいる冬以外はいつでも発生する可能性があります。感染した植物自体も新たな感染源となり、モザイク病に感染した植物を切ったハサミなどの道具から二次感染します。病変のある植物を処理した道具は、必ず熱処理や除菌をしましょう。

発病前の予防
・アブラムシなどの害虫はすぐに駆除する
・枯れ葉や雑草はこまめに処理する
・園芸用具を定期的に洗浄する

発病後の対策
・株を抜いて処分する
・病気の株周辺に落ちている、枯れた葉や根、花がらを取り除いて処分する

ウイルスにかかると、植物は基本的に自力で回復できません。早期発見早期対処が肝心なので、日々観察して異変を見逃さないことが大切です。


ハーブの病気と対策まとめ

<重要なポイント5点>

1.収穫はこまめに行う
風通しがよくなり、病気の原因になる高温多湿状態を避けられます。

2.枯れた植物が植わっていたプランターや、中の土を使い回さない
使用済みの土は養分が欠乏しており、病気の原因が潜んでいることがあります。土は新しいものを購入し、プランターは必ず洗浄・日光消毒しましょう。

3.病気の兆候が見られたら早めに薬剤を使用すること
無農薬にこだわりすぎて枯らしてしまっては元も子もありません。重曹水など、植物に負担のない薬剤を使用するのもおすすめです。

4.風通しがよく害虫が入りにくい「フェルトプランター」を活用する
フェルトプランターは、排水性・通気性がいいうえ底穴がなく害虫の侵入経路が少ないプランターです。

5.ハーブを毎日観察する
適切に管理していても、気候や周囲の環境など避けられない理由で病気になることもあります。早期発見が何よりも重要です。