2022/07/26 22:42

・黒ずむ、黄ばむ、白くなるなど、急に色が悪くなった
・葉にかじり跡がある、毎日葉が減っている
・水をやっても苗が元気にならない

ハーブは比較的病害虫に強いですが、虫が発生しやすい品種や病気になりやすい品種もあります。上記の症状が続くときは、病害虫が原因の可能性があります。適切な対処をするために原因や症状を事前に知っておきましょう。とはいえ、虫がつくのはハーブが元気な証。この記事ではハーブに比較的発生しやすい病害虫について、対処法や症状の見分け方を紹介します。ハーブの病害虫対策に活用してください。


ハーブに発生しやすい病害虫の見分け方と対策


ハーブの種類によって、ある程度発生する病害虫は決まります。栽培中のハーブに起こりやすい病害虫を事前に知って早期発見につなげましょう。

カモミール
(被害を受けやすい部位)
茎、花、新芽
(症状)
・春や秋に緑色や茶色の小さな虫がたかる
・被害部位にアリが集まる
(原因の害虫)
アブラムシ


シソ科ハーブ
バジル・タイム・ローズマリー・ミント・大葉
(被害を受けやすい部位)
葉、花
(症状)
・初夏から秋に長さ数センチほどの細いアオムシが発生・葉にクモの糸のようなものがつく・葉がかすれたレース状になる
(原因の害虫)
ベニフキノメイガ


・ワイルドストロベリー・ニオイスミレ・チャービル・幼苗のハーブ全般
(被害を受けやすい部位)
葉、花、新芽
(症状)
時期:主に梅雨
被害:下葉や柔らかい部分を食害
特徴:白くキラキラとした粘液の跡が残る
(原因の害虫)
・ナメクジ・カタツムリ


・イタリアンパセリ・ルー・バジル・ルッコラ
(被害を受けやすい部位)
(症状)
時期:春・秋
被害:葉を食害
特徴:葉の外側から削り取るようにかじられていく
(原因の害虫)
・アオムシ・ヨトウムシ


・バジル・ミント
(被害を受けやすい部位)
(症状)
時期:高温で乾燥した真夏
見た目:茶色や赤の非常に小さな虫
被害:吸汁され、葉色が悪くなる
特徴:葉裏に細かいクモの糸のようなものが付く
(原因の害虫)
ハダニ


ハーブ全般
(被害を受けやすい部位)
(症状)
時期:春から秋にかけて(特に初夏)
見た目:カブトムシの幼虫に似た白いイモムシ
被害:根を食害、地上部が枯れていく
特徴:株元の土がふわふわになり、たまにもぞもぞと動く
(原因の害虫)
コガネムシの幼虫


主な病気一覧と対策の基本

うどんこ病
(発生しやすいハーブ)
・ベルガモット・ヒソップ・バジル
(被害を受けやすい部位)
葉、茎、蕾
(症状)
葉などが粉を吹いたように白くなり、生育が阻害される


さび病
(発生しやすいハーブ)
・タイム・ミント
(被害を受けやすい部位)
葉、茎
(症状)
白や赤茶色の斑点が広がっていき、生育が阻害される


立ち枯れ病
(発生しやすいハーブ)
・ハーブ全般
(被害を受けやすい部位)
全草
(症状)
根が弱り始め、進行すると株全体が枯れていく

いずれもカビ類を原因とする病気で、菌が活動する春から秋に発生します。病気かな?と思ったら、病気の箇所は全て除去して破棄し拡大をくいとめます。使用した園芸用品は熱消毒し、二次感染を防ぎます。


ハーブの害虫対処方法


方法①捕殺
軍手や割り箸などで害虫を捕らえて処理する方法が最も確実です。
地上部が枯れたり葉に穴が開いていたら、コガネムシの幼虫やヨトウムシが土の中に潜んでいる可能性があります。株元を掘り返して捕殺しましょう。またアブラムシなどの小さな虫は、テープに貼り付けて取ると楽に対処できます。


方法②水流
ハダニなどの小さな虫は水に弱いため、葉裏に水流を当てて流すのが効果的。普段から霧吹きで葉水を与えておくと予防にもなります。


方法③自家製トラップ・自家製防虫薬
農薬を使用せず、ある程度の駆除効果・予防効果を挙げられる方法。害虫によって対策が異なります。

ナメクジ・カタツムリ
ビールを少量容器に入れておびき寄せ、溺れさせる

アブラムシ・ハダニ
牛乳、唐辛子のアルコール漬け、木酢液を希釈したスプレー
※牛乳スプレーは、使用後水で洗い流す


方法④農薬
病害虫の被害が拡大し、上記では対応できない場合は農薬を使用します。症状に適用のある農薬を選び、希釈倍率や使用量は必ず守りましょう。口に入れる可能性のあるハーブに使用する農薬は、有機栽培での使用が許可されている農薬を選ぶのがおすすめ。また使用直後の収穫は避け、表示されている期間以上空けてから料理等に使用しましょう。


病害虫を防ぐ栽培のポイント


病害虫予防ポイント①早期発見のため日々観察する
最も重要なポイントは「早期発見・早期対処」。すぐに対処できればほとんどのハーブで被害を最小限にできます。水をあげるときなど、日々状態の観察を怠らないようにしましょう。


病害虫予防ポイント②栽培環境を見直す
ハーブ栽培に適した環境か、今一度確認します。ハーブは基本的に以下の環境を好む品種が多いです。育てる場所を少し変えるだけで病害虫被害が激減することもあります。

・日当たりの良い場所
・風通しの良い場所
・水はけの良い土壌


病害虫予防ポイント③蒸れないように収穫(剪定)する
株が蒸れていると株の内側が日照不足になったり、蒸れて弱ったり、害虫の隠れ家になります。ハーブの収穫(剪定)は適宜行い、風通しのよい株を維持しましょう。剪定は、株が活性化され新芽を生やす効果もあります。また花が終わった枝は早期に収穫し、病害虫発生の原因になる「花がら」を残さないようにします。


病害虫予防ポイント④水や肥料のやりすぎに気をつける
ハーブに過度な水やり、施肥は不要です。特に水のやりすぎでトラブルに発展する事例は多いため、以下のポイントを守りましょう。

・鉢植えなら、土が乾いてから水やりする
・水やりの際、泥はねに気をつける
・地植えなら基本的に降雨で十分。過度に乾燥する日以外は水やりを控える